汚染防止(大気・水環境の保全)
基本的な考え方
当社グループは、より高度な環境保全を実現するため、製品の研究・開発・リサイクル等の事業活動において、多様な技術を積極的に取り入れることで大気・水環境への汚染物質排出の抑制に注力しています。また、入社時の導入環境研修、定期的に行う環境教育を通じて、事業継続においてグローバルな環境調和が必要であることを社員一人ひとりが強く意識する仕組みを構築し、環境保全に関する条約・法令等の遵守はもとより、敷地境界から外部への汚染物質の流出を抑制するための作業標準で規定化したアクション又は自動化設備導入による異常の未然防止の徹底を図っています。
大気汚染の防止
当社グループは、省エネ設備の導入や燃料転換などにより、大気汚染の防止に努めてきました。SOx排出量については、過去5年間、姫路市との協定値を下回るだけでなく、排出量はゼロで推移しています。NOx排出量についても、協定値以下を維持しています。
SOx排出量
NOx排出量
目標と実績
事業会社 | 2023年度の目標 | 2023年度の実績・取り組み | 2024年度の目標 |
---|---|---|---|
ヤマトスチール | SOx排出量は姫路市との協定値を下回り、排出ゼロを維 持に向けた取り組みを推進 |
灯油などの化石燃料から、SOxを排出しない都市ガスへ の転換実施により、SOx排出量はゼロを継続 |
SOx排出量は姫路市との協定値を下回り、低排出レベル 維持に向けた取り組みを継続 |
NOx排出量は姫路市との協定値を下回り、低排出レベル 維持に向けた取り組みを推進 |
NOx排出量は協定値を下回る40,116N㎥/年 | NOx排出量の低排出レベル維持に向けた取り組みを継続 |
水環境の保全
当社は、すべての国内連結子会社において、工業用水は濾過して循環使用しており、貴重な水資源を無駄にせず排水量が最小限となるように努めています。また、生活排水はバクテリア処理して排水することで、環境負荷の低減に積極的に取り組んでいます。工場から公共用水域(河川等)への油分流出のリスクを極めて重大視し、排水ゲートの管理には、油分検出装置やpH検知器による常時自動監視システムを導入しています。万一異常値を検知した場合には、自動的にゲートが閉じられ社外への流出を防止することで、水環境の保全に全力を尽くしています。
<代替水源の利用>
当社では、粉塵飛散対策として従来からの工業用水散水を改め、雨水貯留水を利用しています。(2022年度より継続実施)
(年度)
項目 | 姫路市との協定値 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | |||
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取水・排水・消費量 | 取水量 | 淡水 | ML/年 | - | 1.38 | 1.36 | 1.46 | 1.43 | 1.40 |
原単位 | L/t-粗鋼生産量 | - | 2.3 | 2.4 | 2.3 | 2.2 | 2.3 | ||
排水量 | 総排水量 | ML/年 | - | 0.48 | 0.60 | 0.63 | 0.58 | 0.57 | |
消費量 | 淡水 | ML/年 | - | 0.90 | 0.77 | 0.83 | 0.85 | 0.83 | |
原単位 | L/t-粗鋼生産量 | - | 1.5 | 1.3 | 1.3 | 1.3 | 1.3 | ||
水質関係 | 総排水量(m³/日)※1 | 通常※2 | 2,708 | 1,395 | 1,734 | 2,107 | 1,617 | 1,650 | |
最大※3 | 3,230 | 2,083 | 2,306 | 2,735 | 1,982 | 2,002 | |||
水素イオン濃度(pH) | 最小※4 | 5.8 | 6.5 | 6.6 | 6.4 | 7.0 | 6.8 | ||
最大 | 8.6 | 8.1 | 8.1 | 8.5 | 8.3 | 8.2 | |||
化学的酸素要求量(COD) | 濃度 | 最大(mg/L) | 30 | 5.1 | 3.5 | 4.2 | 3.5 | 3.4 | |
通常(mg/L) | 6.6 | 2.8 | 2.3 | 2.5 | 2.3 | 2.7 | |||
負荷量 | 最大(kg/日) | 22 | 7.0 | 6.3 | 9.6 | 6.1 | 6.4 | ||
通常(kg/日) | 18 | 3.7 | 4.0 | 5.2 | 3.7 | 4.4 | |||
生物化学的酸素要求量(BOD) | 濃度 | 通常(mg/L) | - | < 0.5 | < 0.5 | 1.1 | 1.4 | 1.2 | |
浮遊物質量(SS) | 濃度 | 最大(mg/L) | 60 | 2 | 3 | 2 | 1 | 2 | |
通常(mg/L) | 22 | < 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | |||
負荷量 | 最大(kg/日) | 72 | 2.1 | 6.5 | 4.0 | 2.0 | 3.2 | ||
通常(kg/日) | 60 | 1.4 | 2.5 | 2.3 | 1.6 | 1.9 | |||
n-Hex | 濃度 | 最大(mg/L) | 2 | < 0.5 | < 0.5 | < 0.5 | < 0.5 | < 0.5 |
- ※1 排水先:西汐入川、受入先:揖保川(工業用水)
- ※2 通常:1日当たりの年間平均値をいう
- ※3 最大:年間を通じて1日当たりの最大値をいう
- ※4 最小:年間を通じて1日当たりの最小値をいう
水資源の効率的利用
当社は、すべての国内連結子会社において、水使用量を把握しており、循環利用率を高めることで、取排水量の低減、水資源の効率利用を推進しています。冷却等で大量に使用する工業用水の循環利用の目標は70%以上と定めています。使用した工業用水は化学処理等による適正な浄化管理を行い目標を継続的に達成しています。2023年度における工業用水の循環率は74%を維持しています。
また、工業用水を高度な膜ろ過システムで浄化し、上水レベルまで処理し浄化水として再利用する取り組みを行っています。上水使用量の80%以上を浄化水で賄うことを目標としており、2023年度における浄化水利用率は90%と高水準を維持しています。
これは上水の取水量削減だけでなく、BCP(事業継続計画)の一環として災害時でも従業員や地域社会に必要な上水を提供することが可能となります。
リサイクル率
項目 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
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工業用水リサイクル率(%) | 74 | 74 | 73 | 74 | 74 |
上水使用に占める浄化水の利用率(%) | 93 | 89 | 94 | 85 | 90 |
(注)工業用水リサイクル率は、(総循環水量)/(総循環水量+総取水量)で算出しています。総循環水量は、設備の仕様から推測している部分があります。
化学物質の適正な管理
当社グループが排出する化学物質は、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)※1、SDS※2など関連法令や規則等に基づき、適正に管理されています。また規制値を遵守するだけでなく、削減にも取り組んでいます。
- ※1 PRTR法: Pollutant Release and Transfer Registerの略で、化学物質の環境への排出量、廃棄物に含まれて事業所外に移動する量(移動量)を、事業者の報告や推計に基づいて行政庁が把握し、集計し、公表する制度で、アメリカ、カナダ、オランダ、イギリス等の諸外国で実施されている
- ※2 SDS:Safety Data Sheetの略で、化学物質等の性状、取扱上の注意等についての情報を記載した安全データシートのこと。諸外国での法制化の状況も踏まえて、政令で指定した化学物質等を取り扱う事業者に、事業者間の取引を行う際、その提供を義務付けている
PRTR対象物質排出量・移動量(2023年度)
PRTR法物質番号 | 化学物質名 | 使用目的 | 取扱量(kg,mg-TEQ/m³) | 環境への排出量(kg/年,mg-TEQ/m³) | 事業所外への移動量(kg/年) | 化学物質管理法届出の有無 | ||||
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大気への排出 | 公共用水域への排出 | 当該事業所土壌への排出 | 当該事業所における埋立処分 | 廃棄物 | 排水 | |||||
80 | キシレン | 塗料・溶剤/燃料 | 1,428 | 1,428 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 有 |
87 | クロム及び三価クロム化合物 | 還元スラグ/圧延汚泥/鋳鋼鋳型 | 3,988 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3,988 | 0 | 有 |
300 | トルエン | 塗料・溶剤/燃料 | 1,392 | 1,392 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 有 |
412 | マンガン及びその化合物 | 還元スラグ/圧延汚泥/鋳鋼鋳型 | 60,672 | 0 | 0 | 0 | 0 | 60,672 | 0 | 有 |
243 | ダイオキシン類 | 非意図的生成物 | 183 | 183 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 有 |
691 | トリメチルベンゼン | 塗料・溶剤/燃料 | 1,303 | 1,303 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 有 |
(注)単位:kg、ダイオキシン類はmg-TEQ
重要物質の管理
当社グループでは、重点管理物質をVOC(揮発性有害物質)、ダイオキシン類と考え、自主的に設定した目標を下回る排出レベルを維持・管理し、環境負荷低減に取り組んでいます。
揮発性有機化合物(VOC)
(注)揮発性有機化合物(VOC)としてPRTR法施行令に定める化学物質のうち、当社グループに関連するVOCを対象としています
ダイオキシン類
目標と実績
事業会社 | 2023年度の目標 | 2023年度の実績・取り組み | 2024年度の目標 |
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ヤマトスチール | VOC排出量:2016年度比30%減 (8,522kg以下) |
・灯油から都市ガスへの燃料転換を実施 ・VOC排出量:2016年度比69%減(3,759kg) |
VOC排出量:2016年度比30%減 (8,522kg以下) |
ダイオキシン排出量:2018年度比40%減 (300mg-TEQ以下) |
ダイオキシン排出量:2018年度比63%減 (183mg-TEQ) |
ダイオキシン排出量:2018年度比40%減 (300mg-TEQ以下) |