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開発・導入エピソード

当社製品を代表する「新幹線用脱線防止ガード」と「PCまくらぎ分岐器」について、製品化までの道のりや導入にいたるまでのエピソードなどを紹介します。 ※所属は2025年3月末時点の情報です。

新幹線用脱線防止ガード

K.O | 技術部 開発課

Profile
大学・大学院で機械工学を学び、2014年に大和軌道製造へ。
前任者の異動により、入社3年目から新幹線用脱線防止ガードの担当を引き継ぎ、以来開発を続けている。

地震による新幹線脱線をきっかけに誕生

 新幹線用脱線防止ガードは列車の脱線および逸脱を防止する装置で、2004年に発生した新潟県中越地震での上越新幹線の脱線をきっかけに誕生しました。私が入社する以前から一般区間に対応する汎用形状のものは完成していましたが、気温の変化によりレールが伸縮する箇所や、ガードの取付可能範囲が制限されている箇所など、従来品では対応できないケースもあります。入社3年目でガードの開発を引き継いで以来、そうした特殊な区間に対応する専用品の開発・設計を担当しています。
 お客様である鉄道会社様から汎用形状では対応できない箇所の情報をいただいたら、CADを用いて製品の形状を検討します。その後、強度をはじめとするさまざまな要素を解析するためのテスト方法を検討・実施し、繰り返し評価を行いながら実用化を目指すといった流れになります。

耐荷重とメンテナンス性の高さが特長

 脱線防止ガードは他社製品にもありますが、弊社のガードは地震時における新幹線用に開発され耐荷重が非常に高いのが特長です。従来の脱線防止ガードの耐荷重は3t程度のものが多いですが、地震によって新幹線が脱線する際、ガードにはおよそ17tの負荷がかかることが分かっています。弊社では強度テストを行い17t以上の耐荷重性能があることを確認しています。
 またメンテナンス性の高さも特徴です。レールを保持するまくらぎの周囲にはバラスト(砕石)がありますが線路の安定、乗り心地を向上するためバラストのつき固めが行われます。つき固め作業時には、脱線防止ガードがレールの内側に配置されているため作業に支障をきたします。弊社製品はボルトを外すことで、簡単にガードを回転させて撤去できる構造になっています。新規品の設計時には、メンテナンスの際の扱いやすさや工具の使いやすさなどにも配慮して構造設計を行っています。弊社は独自の技術に対して積極的に特許を申請しており、さらなる技術開発に努めています。

設計から製品の評価、製造まで一貫して対応

 開発としてスピード感を大事にしています。担当者としてレスポンスの速さを意識することはもちろん、弊社ではオーダーメイドの新規設計ができる環境や、自前の試験環境を整えており、設計から試験、製造までワンストップで対応できることが強みです。
 これまでのやり方にとらわれず広い視野を持ち、利用可能な技術や方法を探し、考え、融合できることも重要だと考えます。新規設計では従来には無い考え方で様々な方法を模索するようにしています。また、現在の製品を知り、将来の製品をより良いものにできるよう、自ら設計した製品を自ら組立て、強度テストを行い、使い勝手や構造の評価をしています。お客様だけでなく自分自身も納得できる製品の開発を目指しています。

脱線防止ガードの製品詳細はこちら

PCまくらぎ分岐器

Y.A | 営業本部 大阪支店営業課

Profile
2010年に入社して以来、東海地方の鉄道会社を担当。
PCまくらぎ分岐器を始めとして、お客様の要望に応えるさまざまな独自製品を導入している。

剛性と安定性で軌道の品質を向上

 線路のまくらぎには木や樹脂製のものがありますが、木や樹脂製と比較して耐久性に勝り主流になりつつあるのがPC(プレストレスト・コンクリート)まくらぎです。コンクリート素材のため重量があり、まくらぎ寿命の延伸、軌道の安定(高低狂い・通り狂いの改善)、まくらぎコストの抑制、保守コストの低減などのメリットがございます。弊社ではこのPCまくらぎを分岐器に取り入れ、お客様のニーズに合わせた形で販売しております。

グループとの連携が納期・コスト面での強みに

 PCまくらぎ分岐器の導入に至った経緯の例として、担当させていただいているお客様の路線と他の鉄道会社様(以下、他社様)の路線が並行している区間があり、他社様が既にPCまくらぎ分岐器を積極的に導入しており気になっているとのお話をいただきました。また、以前からPRを続けており敷設後のメリットは理解していただいておりましたが、先述の通り木や樹脂製のまくらぎと比較して重量物になりますので、実際に現場へ敷設する方法を一度見てみたいというご相談がありました。そこで導入済みの鉄道会社様に相談し、現場での視察を実現。敷設後の軌道状態だけでなく、敷設前から敷設に至るまでの手順も理解していただいた事で、定期的な受注をいただくようになりました。実際に導入した鉄道会社様からは「敷設後の軌道状態が改善した」「10数年経過しているが今までの分岐器と比較してメンテナンスがほぼ必要ない」と評判です。
 製品の品質もさることながら、母体である大和工業グループと連携できることも弊社の特長です。部材によってはグループ内のヤマトスチールから部材を購入しますので、コストと納期には大きなメリットがあります。また、他社様に先駆けて製造設備の機械化・自動運転化を進めており3連休や大型連休の増えた昨今でも、休日中に自動運転することで短納期対応も可能です。案件によっては他社様の納期の半分程度だったこともあるくらいです。

橋渡し役としてのコミュニケーション

 営業としてこだわっているのはレスポンスの速さと誠実さです。お客様のご依頼などを自分の手元に残さずに、すぐに技術スタッフと連携することと、その際にできるだけお客様の言葉をそのまま伝えることを心がけています。特に技術的な内容に対して誤った解釈をしてしまい、お客様の意図とは違う情報が伝わる可能性があるので気を付けていますね。また困ったことがあればいつでもご相談いただけるよう、お客様とも定期的にコミュニケーションしています。オーダーメイドにも強い会社ですので、お困りのことがあればぜひご相談いただければと思います。

PCまくらぎ分岐器の製品詳細はこちら

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